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ICの故障解析

ICの故障解析ページについて

このページは計測分析技術交流広場に掲載されている計測分析技術がICの故障解析とどのように関わっているかを説明することを目的としており、ICの故障解析フローのどの段階で計測分析技術が使用されるかを簡単に紹介します。

ICの故障解析の役割

ICはその製造工程の各段階で、さまざまな検査を経ると共に製品の機能に応じて、電気的な性能チェックが実施され、 良品と不良品に選別されます。最終的に良品と選別された物が、製品として出荷されます。

不良品として選別された物に対しては、故障解析が実施され、特定された故障原因を元に、 製造工程にフィードバックが実施されます。(製品が開発段階の場合は、 必要に応じて回路設計やプロセス設計にもフィードバックが施されます。)

原因の特定は製品の品質を高めるために必要であり、故障解析は故障原因を特定するという、重要な役割を担っています。

故障解析に用いられる技術の多くは、計測分析技術に分類される技術で、 故障原因を特定するためには、前処理技術も含めて最適な手法が用いられる必要があります。

ICの検査と選別について

  • ウエハープロセス途中(主にウエハー単位で選別)
    • インラインモニタリング (膜厚測定、パターン寸法測定、欠陥検査、他)
      ⇒各製造工程での規格値を基準に選別
  • ウエハー完成後(主にICチップ単位で選別)
    • 外観検査 ⇒ ビジュアル的な規格を基準に選別
    • DCパラメトリックテスト ⇒ Test Element Group(TEG) などに含まれる基本素子のパラメータの規格値を基準に選別
    • LSI テスタ等での製品の基本性能のチェック
      ⇒製品仕様に添った規格値を基準に選別
  • パッケージ(PKG)完成後
    • 外観検査 ⇒ ビジュアル的な規格を基準に選別
    • LSI テスタ等での製品の基本性能のチェック
      ⇒製品仕様に添った規格値を基準に選別

故障解析フロー概略

故障解析フロー

  • パッケージ完成後に選別された故障の場合を代表例に紹介...
パッケージ完成後に選別された故障の場合を代表例に紹介

故障解析に用いられる技術、ツール

パッケージ要因かICチップ要因かの切り分け

  • 外観観察
    光学顕微鏡   ・SEM   ・その他
  • パッケージ内部の非破壊観察
    ・X線透視   ・X線CT   ・SAT(超音波探傷観察)   ・その他
  • 電気的特性確認
    ・LSIテスタ   ・カーブトレーサー   ・オシロスコープ   ・TDR法   ・その他

パッケージ要因の故障箇所、原因の特定

  • 観察技術、ツール
    光学顕微鏡   ・SEM   ・FIB(SIM像)   ・その他
  • 分析技術、ツール
    AES   ・EDS   ・EPMA   ・その他
  • 前処理技術
    ・機械研磨   ・ミクロトーム   ・FIB(広い領域を加工できるタイプ)

ICチップ内部の故障箇所の絞込み

  • LSIテスタによる詳細解析
  • ソフトウエアによる故障診断
  • 物理現象を利用した、非破壊又は半破壊解析
    ・液晶解析  ・PEM  ・OBIRCH  ・EBテスタ  ・OBIC  ・EBAC  ・EBIC  ・SDL
    ナノプロービング技術SEM方式、AFM方式)  ・その他
  • 前処理技術
    ・パッケージオープナー(発煙硝酸)  ・機械研磨  ・FIBによるPAD作製  ・その他

故障箇所、原因の特定

  • 観察技術、ツール
    ・金属顕微鏡  ・SEM  ・TEM  ・STEM  ・AFM  ・SCM  ・SSRM  ・その他
  • 分析技術、ツール
    AES  ・EDS  ・EELS  ・その他
  • 前処理技術
    ・発煙硝酸  ・機械研磨  ・プラズマエッチャー  ・FIBによる断面加工  ・その他

上記の技術やツールに関しては、計測分析技術交流広場(本webページ)内にある、計測分析技術一覧、 計測分析技術基本マップ、計測分析技術索引に紹介されているものもあります。

計測分析技術交流広場内に掲載のない技術やさらに詳しい情報を確認されたい場合は、 LSIテスティングハンドブック(オーム社)の閲覧をお勧めします。

LSIテスティングハンドブックはLSIテスティング学会企画運営委員会のメンバーにより編集されたもので、 故障解析を含む、LSIのテストに関する理論と技術、およびその装置全般の原理や測定方法などを集大成、解説されたものです。

・LSIテスティングハンドブック  ISBN978-4-274-20632-0

・LSIテスティング学会へのリンク

略語等説明

  • TEG(Test Element Group):ICの回路を構成するための基本素子、配線などが設計値どおりに作られているかを確認するためのテストパターンで、インラインモニタリングやウエハー完成後のDCパラメトリックテストで使用することを目的に設計されている
  • DCパラメトリックテスト:ICのパーツとして使用している基本素子のDC特性を評価するためのテスト
  • LSIテスタ:LSI(IC)の評価をプログラミングによって自動で行う装置
  • カーブトレーサー:印加電圧に対して得られる電流をモニターするための装置で、横軸:電圧、縦軸:電流でグラフ表示する
  • オシロスコープ:電気信号をモニターするための装置で、横軸:時間に対して、縦軸:電圧をグラフ表示する(電流も表示可能)
  • TDR法(Time Domain Reflectometry):高速なパルス波形を印加して、反射してくる波形を観測する手法(多層パッケージ解析で使用)
  • X線CT(X-ray Computed Tomography):パッケージ内部の状況を3次元で評価可能
  • SAT(Scanning Acoustic Tomograph):超音波探傷観察はパッケージのクラックや剥離状況等の評価が可能
  • ミクロトーム:高精度のカンナ。μmオーダーから数十nmオーダーの精度で試料の加工が可能
  • パッケージオープナー:PKGの樹脂の一部を薬液で溶かしてPKG内部のICの表面を露出させる事が可能な装置
  • 発煙硝酸:濃硝酸に二酸化窒素を添加したもので、酸化力が強くICのPADに使用されるAl表面を温存しながら樹脂を分解(溶解)可能
  • プラズマエッチャー:故障解析ではICの最表面のパッシベーション膜や配線層間の絶縁膜を除去するために使用
  • 液晶解析:PKGの樹脂の一部を除去し、ICを動作又は故障を再現できる設定を実施できる状況下で液晶を滴下し、光学顕微鏡で観察できる状態で故障症状を再現させる。故障箇所の発熱が大きい場合、その上の液晶が変化し、不具合発生箇所を絞り込む事が可能
  • EB(Electron Beam)テスタ:PKGの樹脂の一部を除去し、ICを動作させた状態で、回路に電子ビームを照射し、配線の電位コントラスト、電位波形などを調査可能
  • OBIC(Optical Beam Induced Current):光ビームによって半導体中で発生した励起電流が故障箇所で変化する特性を利用 
  • EBAC(Electron Beam Absorbed Current):SEM中でメカニカルプロービングされたLSI配線が断線やショートしているかどうかを比較解析可能 
  • SDL(Soft Defect Localization):LSIテスタとIR-OBIRCH装置を同期させ、IRレーザーの照射による試料の局所的な温度上昇の影響がテスト結果に変化をもたらす箇所を画像化する事で、故障箇所の物理位置を特定可能
  • SIM像:Scanning Ion Microscope imageはFIB装置で試料にイオンビームを照射したときに放出される2次電子を可視化した像で、試料表面の像が得られるのが特徴。SIM像観察を実施すると、試料表面は若干エッチングされる